前置き
直近の2大会は、どちらも全勝優勝しているが、内容が悪い試合もいくつかあった。
反省として自分の悪手をまとめる。
序盤対策対策で序盤の棋譜は隠す。
(棋譜再生ツールのHamliteと解析アプリの棋譜Boxを使用しています。)
筑波オープン#1
初戦 U三段 ラスク:黒
相手の手数が足りなくて、白g7とXを捨ててきた後の局面。黒上手く捌けそうな局面で、持ち時間も十分にあったと記憶している。
僕は割と早めにa7を選択。白a4の後、黒e8が好手化する事が狙いの手だ。しかし、この手が10石損の悪手だった。その後、もしもa7c1h1g2b2a4と進むと白に左上を滑り連打されてしまう(下図)。
a7c1h1g2b2a4
最善はc8。自然な手で、C列黒一色なのも感触が良い。最善でc8b8a8b7a7c1h1g2b2と進むが、この場合は黒が左下の隅を確保しているため、滑り連打にならない。
c8b8a8b7a7c1h1g2b2
反省点
僕は形を決める手を打って石損しがちで、今回もそのケースだ。c8は逆に保留の手である。白に何もないことを読み切ってc8とドンと構える手を打つべきだった。
問題 黒番 +20はどれ?
これは良い問題なので、ぜひ考えてみてください。
+20で勝てる展開がある。7手読み。
47手目以降、a7g2c8b7と進んで問題図となった。
答えを表示
上手い捌きがあってもおかしくないが、見えなかったため、実戦はh1c1b2と左上を先捨てして最後に左下で稼ぐ展開を選択。結果、引き分け勝ちとなった。
c1の狙いはg5の石を消すこと。そのおかげで黒e8後に白がd8に打てなくなる。
反省点
下辺の捌きばかり気にかけていてc1は考慮から外れていた。全ての手を読むことの重要性を改めて感じた。
この試合は36石損だった。そもそも47手目でc8と打てていれば簡明に勝てる対局だった。オセロでは一瞬のスキが命取りになる。
棋譜 終局まで
5回戦 K六段 ラスク:黒
強豪の方(雑な紹介)。一際気合を入れて試合に臨んだ。良い対局だったので、棋譜をすべて載せる。
棋譜 ラスク:黒
複雑な内容の試合で、5回戦目と後半に差し掛かっていることもあり、脳がはち切れそうになった。
しかし意外にも僕が大きなミスをしたのは1箇所のみだった。
43手目a6と打った手が10石損。最善は下辺取りだった。
下辺取りはa6と打たれて負け模様と思っていたが、b7とXを通して黒勝っていた。その後最善でb7g2b1a8a7と進んだ盤面を見ると、なるほど確かに勝っていそうである。
b7g2b1a8a7b7g2b1a8a7
反省点
この試合は珍しく読み重視で戦っていたが、この下辺取りは感覚的に見えなければいけない手だった。
読んだ結果、「なんとく怖い」と思ってしまい却下したが、そのような弱い読みよりも感覚的な第一感の方が優れていることがままある。長考はその天秤が難しい。
おまけ
対局は僕らで最後だったが、K六段の職権濫y(リクエストにより、少しだけ二人で反省する時間を頂いた。
38手目の白d8(12石損)が疑問に感じたと相手に伝えた所、「ですよね、魔が差しました」と応えられた。
棋譜 再掲
その後、下辺を取らなかった事を相手に指摘され、「なるほど確かに」と応えた。相手の悪手は互いに見えるものである。
おまけ2
今大会は記念すべき第一回で、優勝を狙っていたので嬉しかった。
引き分け勝ちしたK六段は僕以外に負けていなかったため、僅差の優勝でした。
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茨城ブロック予選#50
初戦 K初段 ラスク:白
某ブロガー。
中盤は少し不利に感じていた。
b2?
ここで相手からb2が飛んでくる。ストナーと勘違いしたのかと思い局後に訊いたところ、左上が5マス空きだと勘違いしたという。試しに棋譜boxの盤面編集機能でa2の石を消してみたところ、しっかりXが最善になった。(b2a1c1b1が狙い。)
a2の石を消したver. b2a1c1b1
相手の勘違いから一気に形勢逆転して、もろたで状態。しかし、下図のb6が気の緩んだ10石損。b6c6a5と進んだが、白a5→白b6と打てば黒がc6に打てない分お得である。
黒g2の前にb6に打ちたいと思い打ってしまった。黒g2→白b6だとf2にストッパーの石が出来てしまってd2,e2の黒石が消せないからもったいないと感じてしまったのだ。木を見て森を見ずとはまさにこの事である。
問題 白番
これもプチ問題。白番+20の勝ちはどれ?
答えを表示
有利だが危ない局面だと感じていた。この時点で相手の時間は4,5分程だった。相手のミスも期待して、気持ち早めに打ったc7が18石損の大悪手。黒にd7と打たれていたらいよいよ危なかった。実戦ではb7と打たれて、助かった。
最善は勇気のh3!。一見怖いが、何もない。
前回の筑波オープンも初戦で終盤石損36石だったが、今回も初戦で34石損してしまった。初戦はふわふわしがちなので、次からはより気を引き締めるようにしたい。
おまけ
相手が57手目h8を打っている最中に時間切れとなり、初めての勝手打ちを経験した。勝手打ちは当然ながら相手の手は最悪手、自分の手は最善手を打つべきだ。この間も自分の持ち時間が減るというルールも知らず、僕の残り時間は1分程度。焦りと混乱で58手目の相手の手に最善手のb8を選択してしまった。
勝手打ち b8は最善よ
ここはa7と選択すべきだった。いい経験になりました。......とほほ。
5戦目 O初段 ラスク:黒
相手の序中盤が上手かった。
サクッと決断した23手目e1が緩手。e3はストナーの筋がちらつくが、怖がっていても仕方がない。
ここからは相手が上手く、そして盤面がこちらに都合が悪く、いつの間にかホール形が出来て負け濃厚の局面に。しかも相手の持ち時間には余裕がある。いつも自分が不利な事を悟られないように平静を装っているが、この時ばかりは焦りが顔に出ていたかもしれない。
ホール形が出来て絶望
結果的にはここから一時30石負けの盤面になるが、上手く相手を惑わすことが出来て逆転することができた。
一時30石負けまで行っているが、この対局の実質的なミスは23手目e1ぐらいのように感じた(強いて言えば29手目はf3の方が良いかも)。解析ソフトで反省した結果、他の悪手は相手を惑わすためには必要だと感じた。そういう意味で、23手目のミスは評価値以上に悪い手だったと言えるだろう。ホール形が激弱とも言える。
今対局で使った定石の経験が浅く、初めての対応をされたため罠に嵌ってしまった。定石の性質の理解が甘かった。
棋譜 終局まで
あとがき
オセロには弱い負け方があると思っている。
- 序中盤に時間を温存して感覚的に打った結果、逆転の余地がなくなり残った時間も無意味。
- 序中盤は時間を使って上手く打ち回したが、終盤に時間が足りずに大損をして負ける。
- 読みと感覚のバランスを間違えて、深読みでミス、または感覚打ちで読み抜けが発生して大損して負ける。
- 相手の暗記にハマって負ける。
- 相手に簡明な局面ばかりを与えて負ける。
僕は以上のような負け方が発生しないように気をつけているつもりである。
深く読む前に、局面の性質を見分ける。
- 形勢はどの程度か
- 慎重な読みが必要な局面か
- レアな好手(or悪手)が発生しうる局面か
- 検討している手を打った時に相手は困るか
- 終盤の難易度はどの程度になり、時間がどれぐらいあれば足りそうか
などなど。オセクエ5分よりもここの検討に時間を使っている。今回取り上げた悪手はいずれも、これら性質の把握がずれていたように感じる。局面の性質をもう少し肌感覚で把握できるようになればさらに強くなれそう。
P.S.
最近の記事執筆にはWorkflowyというアウトライナーを使っています。僕は本アプリを愛用していて、もう2年ぐらい有料プランのお世話になっています。アウトラインアプリを使って思考の整理をすることに興味がある方は、まずは無料から使ってみてください。※回し者ではないです。
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